先生の働き方は部活などを含めた拘束時間が長い激務のイメージを持たれがちですが、昨今はブラック体質な部分が少しずつ薄れてきています。
一方で、先生の給料は20年ほどの長期間にわたって右肩下がりに減り続けています。
これは業務負担が減ったことの影響よりも、地方公務員全体の給料が下がっていることが関係しているようです。
仕事の負担と給料の両方が減っている影響から、私学を中心に副業を始める先生が少しずつ増えています。
給特法第3条第2項にある通り、公務員の先生は残業代と休日出勤手当が支給されません。
給料4/100の微々たる調整給で全て賄われます。
基本給自体が高いため先生の平均年収は全体平均より高めですが、残業はほぼ全てがサービス残業です。
私学など公務員以外の先生も、基本給+調整給で残業時間に関わらず決まった給料になってしまうケースが多いです。
公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法
第三条 教育職員の教職調整額の支給等
教育職員(校長、副校長及び教頭を除く。以下この条において同じ。)には、その者の給料月額の百分の四に相当する額を基準として、条例で定めるところにより、教職調整額を支給しなければならない。
2教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない。
3第一項の教職調整額の支給を受ける者の給与に関し、次の各号に掲げる場合においては、当該各号に定める内容を条例で定めるものとする。
一 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四条第二項に規定する地域手当、特地勤務手当(これに準ずる手当を含む。)、期末手当、勤勉手当、定時制通信教育手当、産業教育手当又は退職手当について給料をその算定の基礎とする場合 当該給料の額に教職調整額の額を加えた額を算定の基礎とすること。
二 休職の期間中に給料が支給される場合 当該給料の額に教職調整額の額を加えた額を支給すること。
三 外国の地方公共団体の機関等に派遣される一般職の地方公務員の処遇等に関する法律(昭和六十二年法律第七十八号)第二条第一項の規定により派遣された者に給料が支給される場合 当該給料の額に教職調整額の額を加えた額を支給すること。
四 公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律(平成十二年法律第五十号)第二条第一項の規定により派遣された者に給料が支給される場合 当該給料の額に教職調整額の額を加えた額を支給すること。
引用元:教員給与特別措置法
制度上の問題もあって先生のサービス残業は非常に多かったのですが、昨今は教育委員会の指導で変化が見られています。
東京都教育委員会は2019年5月に1ヶ月あたりの残業時間の上限を45時間とする方針を示して、一定の成果を挙げています。
先生の残業時間が減った要因は複数ありますが、特に以下の2点が大きな影響を与えています。
もっとも大きな影響があるのは、残業に関する管理体制が厳しくなったことです。
以前は残業代が払われないシステムから、ダラダラと残業して雑務をこなす先生が多い傾向にありました。
新人や若手は周囲の先生が残っているから先に帰りにくいといった理由で、無駄に遅くまで残るケースも多かったようです。
それが教育委員会の方針で月45時間を超える残業が厳しく管理されるようになった影響で、管理者が先生に対して早く帰るよう厳しく指導するようになりました。
つまり、相応の業務量があるものの残業すると怒られる理由から、限られた時間で集中して業務をこなすように変わっています。
先生によっては残業時間が減ったけど、疲労感を従来以上に感じているケースがあるようです。
一方で、スクール・サポート・スタッフの外部職員が増えているので、勤務先の学校やポジションによっては業務量の負担が大きく軽減されているケースもあります。
文科省の打ち出した方針によって、公立中学校の休日部活動を民間のクラブや指導者へ委ねる「地域移行」が2023年度より段階的に始まっています。
実際に、部活の顧問を持つ先生の数が大幅に減っている学校の数は少ないですが、多くの学校や自治体が協議を始めていて今後は先生の大幅な負担減になる見込みです。
ただし課題も多く、先生の部活動負担がゼロになるには時間がかかるでしょう。
部活動の顧問は報酬がほぼない無料奉仕です。
平日の夕方以降や土日の時間が部活で潰れてしまうことが減っていけば、先生の待遇改善に繋がります。
一昔前までは先生といえば、残業が多く、部活動などの休日出勤が当たり前というイメージでした。
昨今では、教育委員会の指導やサポートスタッフによって先生のサービス残業や休日出勤が減少傾向にあります。
特に残業の管理体制は厳しくなり、1ヶ月あたりの残業時間の上限を45時間とする方針が決められました。
しかし、残業時間が減ったため、限られた時間で業務を行わなければならず、今まで以上の疲労感を感じている先生もいるという新たな課題が生まれてしまいました。
また、地方公務員全体の給料が下がっていることに関係し、この20年間で先生の給料が下がっているため、私立の先生を筆頭に副業をする先生が増えてきています。
業務負担の軽減や給料の減額など、教師の待遇にはまだまだ改善しなければならない課題が多く残っているようです。